3分でわかる!墓地の管理規約・規定いろいろ

寺院墓地と共同墓地の管理規約の違い

墓地には、宗教法人である寺院が墓地を経営し、お寺などの境内にある寺院墓地と、普通の共同墓地があります。

寺院墓地の管理規約

寺院墓地では、墓地の経営そのものが、その寺院が行う宗教活動と一体になっています。
墓地の管理規約の中にも宗派宗教的な要素が盛り込まれることになります。

共同墓地の管理規約

一方、共同墓地は、直接の宗教活動とは関係ありません。

確かに墓地自体が宗教的な存在で、法律にも国民の宗教的感情に適合するように行わなければならないと規定されています。
しかし、それは広い意味での宗教性であって、特定の宗教活動を盛り込むというものではありません。

共同墓地には、公営と私営のものがあります。

私営墓地

私営のものの中には、その経営母体が宗教法人であるケースもありますが、その場合でも墓地の利用について、宗派を問わないとするものならば内容は一般のものと変わりません。

また、私営の墓地は経営するには知事の許可が必要で、管理規約などについても審査されるため、個々の規約の内容に大きな差は生じないと思われます。

ただし、細かなところは違うことも多いので、検討にあたってっは、規約を確認しましょう。
特に、私営の墓地のなかには、規模が小さく経営主体が弱いところもありますので、注意が必要です。

公営墓地

公営の墓地は、主として市町村の経営が多いです。
また、都営霊園のように都道府県が経営するものもあります。

公営の場合には、元より特定の宗教活動は許されません。
そのため、墓地の管理規約も宗教性の薄いものになります。

公営の墓地の管理規約は、条例に基づくものが多く、比較的その内容は画一的です。

注意しないといけない使用規定

通常、どこの墓地にも使用規定があります。
ただ、寺院墓地では使用規定を文書化していないところもあります。
その内容は、さまざまですが下記の7項目については注意しましょう。
規定に違反すると、使用権を取り消されてしまうこともあります。

1.宗旨・宗派の規定

公営墓地では宗旨・宗派の規定はありませんが、寺院墓地と宗教法人が経営する民営墓地では、原則として〇〇寺の檀信徒とするなどと定められていることがあります。

宗旨・宗派不問と宗旨不問の違い

墓地の規定に宗旨・宗派不問という言葉を見かける場合もあります。
これは、仏教、神道、キリスト教、などの宗教を問わず、また無宗教であってもお墓を建てて構わないという意味です。

一方、宗派不問は、仏教に限るが何宗でも構わないということです。
ただし、多くは在来仏教に限るとしています。

在来仏教一覧

日本の仏教には、伝統的に13の宗派があると言われます。

現在。それらは、天台系真言系浄土系禅系日蓮系奈良仏教系の6つの系列に分けられます。

系列 宗旨 日本での開祖・宗祖 主な本山(統括寺院)
天台系 天台宗 最澄 比叡山延暦寺など
真言系 真言宗 空海 高野山金剛峯寺など
浄土系 浄土宗 法然 知恩院など
浄土系 浄土真宗 親鸞 東本願寺(大谷派)、西本願寺(本願寺派)など
禅系 臨在宗 栄西 鎌倉五山、京都五山など
禅系 曹洞宗 道元/瑩山 永平寺/總持寺
日蓮系 日蓮宗 日蓮 久遠寺など
天台系

天台宗:平安初期に最澄が日本に伝えました。

真言系

真言宗:平安時代に入唐した空海が伝えました。

浄土系

浄土宗:平安末期に法然が開祖です。名号「南無阿弥陀仏」を念仏します。
浄土真宗:親鸞を開祖とします。本願寺派、大谷派などがあります。
融通念仏宗:平安末期、良忍が開祖です。総本山は大念仏寺。
時宗:鎌倉時代中期、一遍上人が開祖。清浄光寺が総本山です。

禅系

臨済宗:鎌倉時代、栄西が入宋して伝え、京都、鎌倉に五山を制定しました。
曹洞宗:鎌倉時代に入宋した道元が開祖です。大本山は、永平寺と総持寺です。
黄檗宗:江戸時代、明の僧隠元が伝えました。宇治・万福寺が大本山です。

日蓮系

日蓮宗:鎌倉時代に日蓮が開きました。祖山は、身延山・久遠寺。

奈良仏教系

奈良仏教は、日本の仏教宗派の源流で、当時は国家によって支えられていました。
今日でも、寺院は檀家を持たず、葬式を営むことがないため、一般にはなじみのない宗派名かもしれません。

法相宗:奈良時代に、興福寺、薬師寺を中心に栄えました。
華厳宗:奈良時代に中国に伝わり、東大寺が大本山です。
律宗:奈良時代、鑑真が日本に伝え、唐招提寺を創建しました。
その他、三論宗、成実宗、倶舎宗などもあります。
これらは、南都六宗と呼ばれます。

南都とは、奈良の平城京のことで、のちの平安京を北都と呼ぶことから生まれた呼び方です。

2.墓石を建てなければならない期限

生前にお墓を取得する場合、遺骨がなくても定められた期限内に墓石を建てなければならないところもあります。
更地のまま放置してはいけないということです。

3.管理費の支払い方法

1年ごとに年間管理費を支払うのが一般的ですが、数年分をまとめて前納する決まりがあるところもあります。

4.石材店や墓石の種類の指定

公営墓地では、石材店を自由に選ぶことができます。
一方、民営墓地では、指定石材店制度が定められているところが多く、数社~数十社の石材店の中から選ぶことになります。

寺院墓地の場合、制度化はされていませんが、それぞれの宗派に沿った墓石工事に慣れていて、その墓地での施行実績のある石材店を紹介することもあります。

5.埋蔵者の条件

原則として3親等以内の親族まで、といった制限がある墓地もあります。
条件が合うかどうか確認しましょう

6.承継者の条件

承継者がいないと使用できない墓地、さらに、承継者は原則として3親等までなどの制限がある墓地もあります。

7.永代使用権の取り消し条件

第三者への譲渡・転貸、目的外の使用など禁止項目に違反したときや、管理費を一定年数以上滞納した場合などには、使用権を取り消す旨の規定が定められています。

墓の敷地、墓石などの規格

墓の敷地や墓石に関しては、法律上は特段の制限や基準はありません。
ただし、死体の埋葬、焼骨の埋蔵は知事の許可を受けた墓地でなければできないので、霊園・墓地からの制約を受けることになります。
墓地によっては、墓石の大きさや形状まで規制している場合があり、その規則に従って墓地の永代使用権を購入した以上、規則は守らなければなりません。
違反すれば、使用契約を解除されて使用権を失うこともあります。
しかし、墓石の大きさや形状まで規制している霊園・墓地はそれほど多くありません。

また、墓地の永代使用権分譲については、区画に分けていても数区画買ってあわせて大きな敷地にして、大きな墓を建てることができる霊園もあります。
そもそも区画自体に大小の差のある場合もあります。

墓地の敷地は、〇〇聖地として数えるところが多いですが、一聖地が何㎡かという決まりはなく、霊園によって異なります。
また、二聖地が一聖地の倍かというとそうではない場合もあります。

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