3分でわかる!香典返しのまとめ:挨拶状、のし、時期、金額などについて解説!

香典返しとは?

香典返しは、葬儀の特に参列者から出された香典へのお礼として、挨拶状とともに喪主から送るものです。
三十五日か四十九日の忌明け後に送ります。
ただ、忌明けの返礼の煩雑さを防ぐために、葬儀当日に香典の金額にかかわらず、一律の品物を返すこともあります(当日返し即日返し)。

香典返しには、礼状を入れます。

香典とは、故人の冥福を祈り、香の代わりとして供えるものです。
香典には、相互扶助の意味があり、本来お返しは不要とされており、忌明けの挨拶状に感謝の意を記せば、必ずしも品物でお返しする必要はありません。
しかし、現在は香典返しをすることが一般的になっています。

香典返しにのしはつけない

香典返しは仏式の言葉ですが、キリスト教、神式でも同じ場合がほとんどです。

品物の表書きは忌明志粗供養満中陰志として、喪主の名前で贈ります。
宗派を問わず使える表書きは志(こころざし)です。
毛筆か筆ペンで薄墨で書きます。
また、下段に喪主の姓名か○○家と毛筆か筆ペンで書きます。

のしはつけません。

かけ紙は、白の奉書紙か半紙で、かけ紙の水引は、仏式では、黒白かグレーの結び切りの水引をかけます。
青と銀、紫と銀などで印刷されていることもあります。
関西では、黄白の結び切りの水引に満中陰志とすることもあります。

蓮の絵柄がついているかけ紙は、仏式のみで使用できます。
仏式の四十九日の忌明け後にする香典返しの表書きは忌明志(きあけし)にします。

神式では、銀一色か黒白の水引に、表書きは、または偲草とします。

キリスト教では、御花料として香典をいただいた場合、死後1ヵ月目の昇天記念日後、故人を記念する品を贈るのが一般的です。
金額は仏式と同様に、3分の1~半返しが多いようです。
表書きは、記念品、粗品でもOKですが、カトリックは昇天記念、プロテスタントは召天記念などとします。

香典返しの挨拶状

香典返しの準備では、事前に送り先をリストアップします。
葬儀の参列者が記帳した芳名帳を使って宛名や住所を確認します。
香典返しを贈る際には、品物と一緒に香典のお礼とともに、四十九日忌を終えたことを報告する挨拶状を添えて贈ります。
宗派により三十五日を迎えて挨拶状を送ることもあります。

挨拶状の文面には、会葬のお礼、納骨を終えた旨を報告して、香典返しを送った旨も伝えます。
文面は、サンプルを利用してもいいでしょう。
葬儀社やデパートなど、返礼品を扱うお店に挨拶状のサンプルがある場合が多く、故人や喪主の名前を入れれば、簡単に作成できるようなものが用意されています。
もちろん、サンプルと同じ文面ではもの足りない場合には、自分でオリジナルの心を込めた文章を作ってもよいでしょう。
月並みな内容でも、喪主自らが記した言葉のほうが、気持ちも伝わることでしょう。

作成方法は、手書きでもパソコンでも構いませんが、奉書紙に薄墨で書いて、奉書紙の一重の封筒に入れるのが基本です。
もしくは、奉書に黒で書いたものを薄墨印刷をします。
カード式の挨拶状でもよいでしょう。

香典返しをしない場合でも挨拶状は贈る

葬儀にはお金がかかるので、相互扶助のために食べ物や金銭を供えて香典にしたという意味もあります。
そのため、本来は、香典へのお返しは必要ありません。
なかには、香典返しの習慣がない地域もあります。

また、世帯主が亡くなり、香典を生活費にあてる、故人の遺志により寄付をするなどの理由から香典返しをしない場合には、挨拶状に理由を書き添えておきます。

もし、香典をいただいた方から、香典返しは不要と言われたら、お気持ちを受け取り、後日お礼状を送りましょう。

香典を寄付し、香典返しをしない場合でも挨拶状は贈ります。
その際、寄付をしたという旨を書き添えるようにしましょう。
また、寄付先からの礼状があれば、その写しを同封します。

香典を寄付するときは、東京都なら(財)善意銀行、市区町村なら社会福祉協議会などに、寄付金と寄付先の名前と住所を知らせれば、それぞれのところに連絡してくれます。

神式の挨拶状と香典返し

香典返しは仏式の言葉ですが、一般的に神式でも同じようにすることが多いです。

神式では、三十日祭または五十日祭の忌明け後、挨拶状とともに香典返しをします。
挨拶状も仏式と同様の趣旨で書きます。
印刷された既製の挨拶状も葬儀社にあります。

ただし、次のような仏式の用語は使いません。

  • 冥福
  • 成仏
  • 供養
  • 回向
  • 追善

キリスト教の挨拶状と香典返し

一般的な習慣として、仏式と同じようにすることが多いです。

香典返しの時期には、特に決まりはありませんが、1ヵ月後の召天(昇天)記念日に挨拶状を添えて、記念品を贈ることが多いようです。
挨拶状には、急逝、永眠、神のみもとに召され、などを使います。

香典返しの挨拶状の文例

筆で書く文章では句読点を使わないため、儀礼的な手紙ではその様式に整えます。
ただし、最近は句読点を入れた普通の書き方も増えています。

例1.忌明けのあいさつ状

拝啓 先般夫○○儀 永眠の際は ご鄭重なるご厚志を賜り厚く御礼を申し上げます
お陰をもちまして 本日
●●●●●●●(戒名)
四十九日忌法要を相営みました つきましては供養のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたします 何卒ご受納賜りますようお願い申し上げます
早速拝趨の上お礼申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもちまして謹んでごあいさつ申し上げます                        謹白

平成◇◇年◇月◇日
住所・喪主名

 例2.

謹啓

先般 父○○永眠に際しましては 葬儀にご参列くださり またお供物まで賜りまして まことにありがとうございました
本日 四十九日の法要を営みました
つきましては 供養のしるしまでに 心ばかりの品をお届け申し上げました
どうぞお納めくださいますよう お願い申し上げます
まず略儀ながら 書面にて謹んでご挨拶申し上げます

謹言

○○○○
平成◇◇年◇月◇日

例3.

謹啓

先般 夫○○儀 永眠の折にはご丁重なご弔詞をいただきその上過分なるお供物を頂戴し 誠に有難く厚くお礼申し上げます
本日
○○○○○(仏名)
四十九日忌の法要を営みました
つきましては供養のしるしまでに心ばかりの品をお届け申し上げましたのでなにとぞお納めくださいますようお願い申し上げます
先ずは略儀ながら書中を以って謹んで御挨拶申し上げます

敬具
平成○年○月○日
○○ ○○

例4.神式

謹啓

先般 夫○○儀 帰幽の際には
ご懇篤なるご弔問をいただきその上お供物まで賜りまして誠に有難く厚くお礼申し上げます
本日
五十日祭を営みましたので謝意を表したく心ばかりの品をお届け申し上げました
ご受納くだされば幸甚に存じます
先ずは略儀ながら書状を以って謹んでご挨拶申し上げます

敬具
平成○年○月○日
○○ ○○

例5.四十九日法要の報告を兼ねる場合

謹啓

先般 父○○儀 永眠の際にはご弔問をいただき 加えてご芳志まで賜りまして 誠に有難く厚く御礼申し上げます
本日
○○○○○居子
七七忌の法要を 内々にて営みました
つきましては 供養のしるしまでに心ばかりの品をお届け申し上げました
なにとぞお納めくださいますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちまして 謹んでご挨拶申し上げます

敬具

平成○年○月○日
長男 ○○○○

例6.香典の一部を寄付した場合

このたびは、故○○○○の葬儀に心温まるご弔慰をいただきまして誠にありがとうございました。
また、ご多忙にもかかわらずご会葬くださいましたこと、心より御礼申し上げます。
○○様のお心づかいに、遺族一同どれほど励まされたかわかりません。
つきましては、ささやかでございますが、心ばかりの品を届けさせていただきます。
本来ならば、お目にかかってお礼を申し上げるべきところですが、略儀ながら書面にて謹んでごあいさつを申し上げます。

平成○年○月○日
○○○○

追伸

故人の遺志によりまして、ご芳志の一部を財団法人○○研究所に寄付させていただきました。
なにとぞご了承いただきたくお願い申し上げます。

香典返しの時期

一般的には、四十九日忌法要がすんだ忌明けに、香典返しの品とあいさつ状を送ることが多いようです。
地域によっては、会葬御礼と一緒に当日渡したり、三十五日回忌法要後に贈る場合もあります。

1分でわかる!会葬御礼(返礼品)、会葬礼状で気をつけるべきマナー・作法

ただ、香典返しは、仏事としては必要はなく、あくまで日本の慣習として行うものです。
香典を郵送してくれた方に対しても、四十九日忌が明けてから贈ります。

神式の場合には、五十日祭の後に贈ります。
キリスト教式の場合には、1ヵ月目の命日に贈ります。

即日返し

最近では、四十九日の忌明けを待たずに、通夜や葬儀・告別式の当日に渡すことが増えています。
忌明けの返礼の煩雑さや渡し漏れを防ぐためです。
香典の額にかかわらず、一律2,500~5,000円の香典返しを渡します。

これは即日返し(当日返し)と言い、品物は一律のものを用意します。
これに対して、通常の香典返しは後返しと呼ばれます。

  • 即日返し…通夜・告別式でお渡しする方法
  • 後返し…葬式後に香典金額に合わせた品物を個別に送る方法

遺族にとっては、香典帳の整理や品物選びの手間など、葬儀後の負担が軽減され、総量もかからないという点がメリットです。

即日返しにするか、後返しにするかは、地域の慣習に合わせましょう。
地域によっては、即日返しが定着していないところもあるので、葬儀社に相談しましょう。

また、即日返しで、葬儀当日に香典返しをしたが、多額の香典をいただいてしまったようなケースは、後日、半返しになるような品物を返す傾向が多くなっています。
カタログギフトなどでお返しするとよいでしょう。
1万円を超える高額の香典をいただいた場合には、忌明け後にお返しするケースがほとんどです。
品物の値段は、1万円から差し引いた残額の半返しが目安です。

四十九日法要のときにいっしょに香典返しを渡してもいいの?

本来の香典返しは四十九日法要後に手渡すのが正式ですが、四十九日忌は重要な法要で、会食やお礼の品も用意しなくてはなりません。
香典返しについては、当日ではなく、後日改めて贈るほうがよいでしょう。

香典返しの品物

香典返しは、結婚披露宴の引き出物などとは異なり、不幸をあとまで残さないという意味で、のりやお茶、菓子などのような食べ物や消耗品など消え物が一般的でした。
しかし、最近では、お茶、砂糖、バスタオル、石鹸、菓子などのほか、ブランド物のタオルやジャム、入浴剤など好きなものを選べるカタログギフトなど多様化しています。

香典の代わりに花や線香などを送ってきた相手には、菓子折りなどのお返しをするケースが多く見られます。

香典返しの品の例

  • お茶、コーヒー、紅茶
  • のり
  • タオル
  • 石鹸、洗剤
  • 毛布などの寝具
  • ギフトカタログ

香典返しにはカタログギフトが増えています

香典返しの品物には、消耗品など残らないものがよいとされていますが、最近では自由に選べるカタログギフトが増えています。
金券は抵抗がある方も多いので避けたほうが無難でしょう。

香典返しの金額、値段

香典返しの品は、半返しと言って、いただいた香典の金額の3分の1~半分程度の金額を目安に、数種類の品を選ぶのが一般的です。
ただし、いただいた香典の額ごとにそれぞれ贈ってもよいのですが、金額に関係なく同じものを贈っても構いません。
即日返しの場合には、香典の金額に関係なく、3,000円~5,000円の品にするとよいでしょう。
いただいた香典の額が高額(2万円以上)の場合には、四十九日法要後にいただいた香典の半額程度の品を用意して贈りましょう。
特に高額の香典をいただいた場合には、半返し以上の品を返すこともあります。

香典返しの地域別費用総額データ

財団法人日本消費者協会の第五回「葬儀についてのアンケート調査」平成7年2月によると、地域別の香典返しの費用総額の地域別平均額は次のようになっています。

  • 全国 … 72.2万円
  • 北海道 … 41.9万円
  • 東北 … 48.0万円
  • 関東A(茨城・栃木・群馬・千葉) … 76.6万円
  • 関東B(埼玉・東京・神奈川) … 67.8万円
  • 中部A(新潟・富山・石川・福井) … 64.6万円
  • 中部B(山梨・長野・岐阜・静岡・愛知) … 97.2万円
  • 近畿 … 89.8万円
  • 中国 … 70.3万円
  • 四国 … 68.9万円
  • 九州 … 68.4万円

香典返しをする必要がないケース

香典返しをする必要がないケースは次の3つです。

①香典の中包みに「香典返し不要」と書き添えられている場合

②生計を支えていた世帯主の死亡の場合

③故人の意思で香典を寄付した場合

ただし、②と③の場合は、あいさつ状にその旨を記すのが礼儀です。
寄付をした場合は寄付先を明記して、先方からの礼状があればそのコピーを同封してもよいでしょう。

複数人から香典をもらった場合の香典返し

香典は友人や勤務先などで少ない金額を複数人でまとめて贈ることがあります。

そのような場合は、代表者宛に菓子やコーヒーセットなど、みんなで分けられる品物でも構いません。
例えば、会社の課一同で香典をいただいた場合に、部署の皆さんで召し上がれるお菓子などを贈ります。

ただ、会社の部単位で数人から香典をいただいたときも、中包みの中に住所・氏名が書かれた半紙が入っている場合は、それぞれに香典返しをします。

香典を辞退したが送られてきた場合

例えば、家族葬などで香典を辞退したにも関わらず、贈られてきた場合はどうすればよいでしょうか。

その場合には、お気持ちとしていただき、同額程度のお返しの品とともにお礼状を贈るとよいでしょう。

入院お見舞いをいただいたままの場合

入院お見舞いをいただいたままの場合には、香典返しにその分も加味してお返ししてもよいでしょう。

または、香典返しとは別に御見舞御礼を贈るとより丁寧です。

香典返しのお礼はしない

香典返しを受け取っても、「ありがとうございます」などのお礼を述べないのがしきたりです。
お礼状も出しません。

四十九日忌が終わると忌明けとなり、遺族からあいさつ状とともに香典返しの品が送られてくることがあります。
香典返しは、葬儀のときに参列者から出された香典へのお礼として、四十九日の忌み明けに、挨拶状とともに喪主から送られてくるものです。

香典返しのお礼は不要

通常は、贈答品をいただいたら礼状を出すのが礼儀ですが、香典返しに限っては、お礼の手紙や電話はしないのがマナーです。

これは、大きな悲しみを抱えている相手に「ありがとう」というのはふさわしくないからです。

また、不幸を行ったり来たりさせることを嫌う風習によるものです。
弔辞に対してお礼を出すことは、不幸が重なる、不幸が繰り返されるということにつながり、よくないとされます。

お礼を受け取ったことを伝えたいなら…

ただ、これは宗教上のしきたりや仏教の作法というわけではありません。
お礼を受け取ったことを伝えることは、礼儀として大事なことです。

親しい相手なら、電話で受け取ったことを報告して、葬儀のときの感想や遺された人への励ましの言葉を伝えるのもよいでしょう。
ただし、この時も「ありがとうございました」などとは言わないように気をつけましょう。
香典返しが届いたということだけ伝えれば十分です。

また、手紙やハガキで、「ご供養の品たしかにいただきました」などと書いて出してもよいでしょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする