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本山納骨(ほんざんのうこつ)とは?
本山納骨とは、各宗派の総本山に骨を納めて供養する方法です。
寺院によって名称などは異なりますが、各宗派の本山寺院の定められた場所に合祀される葬法で、きちんとした仏教の供養を受けたいけれども、お墓を建てるのは難しい、そんな一見わがままな要望も叶えられます。
本山納骨は、比較的安価な費用で済み、その宗派の信徒でなくても受け入れてもらえるところが多くあります。
仏教と言う教えを重んじていて、なおかつお墓という形式にこだわりがなく、遺骨は崇高な場所にあって欲しいと願うなら、本山納骨は望ましい葬法でしょう。
お墓の購入予定がないという方にも向いています。
本山納骨の特徴
浄土宗・浄土真宗・真言宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗など、最近では多くの宗派が本山納骨を受け入れています。
各宗派によって、手続きや納骨方法などに違いはありますが、本山納骨の共通点は次の通りです。
- 開祖の眠るそばに納骨できる
- 家の宗派の檀家寺に墓を持たずとも、家の宗派で祀ってもらえる
- 納骨料が明朗かつ安価である
- 法要をお願いしたい場合は、必要に応じて対応してもらえる
- 共同墓のため、納骨後の返還はできない
- その宗派の檀家や信徒になっていなくても受け入れてもらえる
ただし、全国各地に本山と名のつく場所はいくつもありますが、すべての本山で本山納骨を行っているわけではありません。
例えば、東京都大田区の日蓮宗の大本山では、共同墓に受け入れる形での本山納骨は行っていません。
このように本山でも本山納骨を行っていない例もあります。
事前にきちんと問い合わせましょう。
自分が信仰する宗派や、希望する場所にある本山などに問い合わせをしてみるとよいでしょう。
ただし、本山納骨の趣旨に賛同ができるか、遺族や親族で話し合うことも忘れてはいけません。
本山納骨のメリット
寂しくない場所に眠ってもらえる
本山は、季節を問わず、参拝客でにぎわっているため、故人を葬るには寂しくない場所と言えます。
深い信仰を持つ人であれば、開祖・始祖のそばで眠ることに、安心感を抱くこともできます。
本山は地元でも有名なお寺となっている場所が多く、お参りをする遺族も迷うことなくたどり着くことができます。
また、観光なども兼ねてお参りできます。
その宗派の檀家や信徒になっていなくても受け入れてもらえる
本山納骨は、その宗派の檀家や信徒になっていなくても受け入れてもらえます。
信仰がなければ受け入れていない宗派もありますが、宗教や宗派を問わないことも少なくありません。
建前上は、やはり信徒であることが条件とされる場合もありますが、申し込みがあった場合は、その意思を尊重して、宗派は問わないのが一般的です。
ただし、本山納骨は費用が安く受け入れやすい葬法ですので、そういった理由で利用者が増えてしまうとお寺側としても従来通りの受け入れが困難になっていくことが考えられます。
本山納骨を本当に希望している人が利用できるように、主旨をよく理解して、故人が生前望んでいたことや信仰していたことなども加味することが大切です。
故人の遺志を尊重した上で、お寺に相談してみましょう。
本山納骨のデメリット
共同墓のため、納骨後の返還はできない
ほとんどのお寺では、一度納骨された遺骨の返還は行っていません。
本山納骨を希望する場合には、そのことも踏まえた上で申し込む必要があります。
お参りはいつでもできるとは限らない
お参りはお寺が開いている時間のみ許可されます。
一般的には、午前9時~午後4時頃までです。
ただし、お寺の行事によっては、お参りできない日もあります。
その都度、お寺に問い合わせましょう。
本山納骨にかかる費用
本山への納骨と聞くととても費用がかかるイメージを持たれるかもしれませんが、本山納骨の平均費用は10万円ほどです、
その後の年間管理料などがかかるケースも少ないため、安心して頼むことができます。
本山納骨で必要な書類
本山納骨で必要となる書類は、お寺によって異なります。
場合によっては、納骨依頼書など、火葬証明書や埋葬証明書とは別の書類を必要とする場合もあります。
本山納骨を希望する場合は、事前の確認が必要です。
本山納骨の申し込み時に注意したいこと
本山納骨はお寺によって条件はさまざまです。
注意すべきポイントは次のような点です。
- 信徒ではなくても受け入れてもらえるか
- 供養はその程度の頻度で行われるか
- 管理費やお布施など、納骨後も料金はかかるのか
- 身内も同じように納骨してもらえるのか
- 参拝はいつでも行えるのか
また、本山納骨では、すべてのお骨を納骨できるかというとそうではありません。
納骨の受付は、お寺によって異なります。
例えば、高野山の真言宗の総本山である金剛峯寺では、分骨のみを受け付けています。
これは、宗教的な慣習として、檀家の人が本山へ遺骨の一部を納骨するというのがあり、それが現在の本山納骨として残っているなどの宗教的な背景によるものです。
本山納骨の供養の仕方
本山納骨の場合、お寺が定期的に供養の意味を込めてお経を読む会を設けていることが多いため、その会に参加するのが良いでしょう。
本山納骨と聞くと、格式が高いように感じるかもしれませんが、難しく考える必要は決してありません。
故人を思う気持ちが大切です。
本山納骨は歴史の深い葬法
本山納骨は、近年考えられた目新しい葬法ではありません。
日本に古来からある歴史の深い葬法で、始まりは、僧侶の社会救済行の一環として、戦で亡くなった人や、旅の途中で行き倒れた人、お墓に入れないなどの事情を抱えた人などの無縁仏を集めて合祀したことにあります。
その名残のまま、事情を抱えた人や、また、宗祖を熱心に慕う信徒の納骨を本山で行ってきたのがこれまでの形でした。
しかし、時代の流れとともに、遺族が実際に本山まで行き、納骨を行うことは現実問題として難しくなってきました。
本山納骨は、そんな人々が利用する葬法として人気を集めつつあります。
面倒な手続きや準備はしたくないけれど、故人の慣れ親しんでいた宗派の供養方法をとってあげたい、という贈る側の思いを叶えることができます。